花 火
beebee
ベランダから花火に興じる親子が見えた
遠くで見る花火は寂しい
家族で花火をすると必ず
兄弟で取り合いになる花火があった
必ず最後に残ってしまう花火もあった
いつも両手に花火を握って
種火を待って立っていた
地面に立てたロウソクにかざすと
花火は筒先から火を噴いて
黄や赤や緑の燦めきが
煙と一緒に辺り一面に飛び散った
燃え尽きて光る筒先を振り回すと
光の軌跡が暗闇に浮かび上がって
アニメのような夏休みの記憶を残した
でも見せ場になると
すぐに終わってしまう花火
花火ってやっぱり寂しい
8月のぼくたちはもう時間がないんだ
あわてなくてもいいのに
あっと言う間に終わってしまって
バケツの水に突っ込まれて消えてしまう炎
アパートの裏の駐車場に
鼻を突く火薬の匂い
ジャリジャリと
足下の砂利が音を立てた
やっぱり最後に消えてしまう花火は寂しい
遠くの花火をみてそう思った