トロピカルな未来
灰泥軽茶

目を閉じて

瞼の裏で泳ぐ半透明の熱帯魚

朧げな景色

緑に覆われた朽ち果てた遺跡の中で

私はとても柔らかい座布団に座っている

宙には

カップ麺の容器がたくさん浮いており

中を覗くと底がない闇に

無数のカラフルな熱帯魚たちが

おもいおもいに泳いでいる

手で掬おうと手を伸ばすと

掌から二の腕へ

吸いこまれるように流れこみ

体内に無数のカラフルな熱帯魚たちが

泳ぎまわり

陽気なスティールパンの音が連打され反響し

トロピカルな明滅と共に

私は分解され

底がない闇に自由自在に流れて散っていく



自由詩 トロピカルな未来 Copyright 灰泥軽茶 2012-09-09 03:20:46
notebook Home 戻る