Home away?
りぃ

 無くしたのかな。
 もうずっと昔に。
 無くしたのよ。
 ついさっき脆く崩れた家の中で。

 Home away?

 はだしの足を冷たく刺した。
 雨が私を溶かした。
 それでも走った、足があったから。
 目の前に見知らぬ人が立っている。
 傘は穴だらけで、それでも私を見ていたから。
 掴もうと試みた、腕がまだあったから。
 
 一面水色。
 その人が言うかもしれない。
 つかめない腕を伸ばすかもしれない。
 期待は私を喰い殺すだろう。
 けれど、それ以外、何も無い。
 
 冷たい感覚を失えば
 貴方の事を忘れられると思った。
 自分勝手に、そう思った。

 思い出せない。
 もう体が無くなるから。
 もう私じゃなくなるから。
 腕は、手は、足は、顔は、消える。

 貴方の言葉を聞きたくて
 耳だけ残しておいたわ。
 だから言って。
 
 一面水色
 水溜りが空を映してる
 崩れた壁
 彼方に虹がかかるよ。




自由詩 Home away? Copyright りぃ 2004-12-13 23:05:57
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