なまえのない島
itukamitaniji

なまえのない島

こっちは僕らのもの そっちは君らのものって
ドッチボールの陣地を 取り合う子供を思い出した
架空の境界線を また誰かが引こうとする
落書きみたいに カラフルにでも引けば楽しいんじゃね?

誰のものとか いつまで経っても決められないのなら
ぐちゃぐちゃにして ジュースにして仲良く飲めば?


こっちは正義で あっちは悪だとか言って
関係ないところで 繰り広げられる劇に飲まれて
テレビで歌うあの女は 居場所を引き裂かれてしまった
生まれた場所にも 愛する場所にも手を引かれて

誰のものとか いつまで経っても決められないのなら
爆弾でも落として 粉々にしてしまえば良いよ


僕らはいつだって
すでに出来上がった絵を
自分勝手に汚してくだけ
何をするにせよ不必要なだけ

誰のものとか いつまで経っても決められないのなら
いっそ誰のものでも 無いものにしてしまえばいい
風に揺れる小さな花だって 空に輝く星だって
名前が無くても ただそこにあるだけで美しいのに


自由詩 なまえのない島 Copyright itukamitaniji 2012-08-30 01:36:35
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