自動二槽式マキナ
魚屋スイソ

夢精した、全裸で煙草を吸いながら、パンツを洗濯機にかけていると、不穏な音、次第に加速し、やがて一定の間隔で、洗濯機が大きくゆれるようになる、傍の金属のラックが軋んだ音を立てる、きょうは電車に乗って、電気屋に行きたい、蛇口から水の吹き出る音、洗濯槽の回転する音、ブレイクビーツが部屋を支配している、おれの精子たちがハードコアしている、

駅のホームの、黄色い線の外側で、女子高生たちがラインダンス、左から緑の電車、スカートが次々にめくれて、パンツに、ドットで、侵、略、者、ヲ、討、テ、ハート、ドアが開く、駅員のアナウンスと共に、スーツのヒョウモンダコ、学ランのチンアナゴ、眼鏡のアオリイカ、ピアスのホオジロザメ、トレンチコートのハダカイワシ、ビーチサンダルのタカアシガニ、ニット帽のワニトカゲギス、ヘッドフォンのチョウチンアンコウ、隊列を組んで、迫ってくる、女子高生たちは、瞬く間にやられ、おれはその死体の中のひとりと目があったまま動けない、長い黒髪を垂らし、胸に大穴を空け、血を吐いている、ドアが閉まる、空っぽの電車が遠ざかっていく、にじり寄ってくる侵略者たちの、指先から、ビーム、おれの手には、弾け飛んできた女子高生の脚、かかとの潰れたローファー、白いハイソックス、ふともも、ふともも、ふともも、ふともも、ふとももを、両手で掴んで、上段に構える、侵略者たちを横一線になぎ払う、ビームの当たらない、懐へ飛び込んで、左から右へ、右から左へ、何往復もしながら、侵略者たちを線路へ蹴落としていく、特急が通過していく、女子高生の、脚は強い、カラフルな、カラスの群れが、死肉を啄ばむために降りてくる、おれは手にしていた脚を守ろうと、冷たくなったふとももに頬を擦りつけ抱きしめる、強く抱きしめすぎたため、脚の付け根の断面から、血が吹き出てきて顔にかかる、紫のカラスが、尖ったくちばしをこちらに向けて滑空してくる、

血と汗にまみれた服を脱ぎ、濡れたパンツを拾い上げ、洗濯機のスイッチを入れる、パソコンにマイクを繋ぐ、録音を開始する、リリックを書きながら、今朝の夢のことを思い出す、契約書にサインを書かされ、遠い惑星からやってきた女の子の生体実験に立ちあう夢だった、


自由詩 自動二槽式マキナ Copyright 魚屋スイソ 2012-08-28 18:00:13
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