いもうと
寿

このせかいで
たったひとりのいもうと

おさないころからいっしょにいきてきた

たったひとりの かわいいいもうと


あなたはいま、ぽっかりとあいたかなしさを

いつものように
わすれてしまっている


ときどき、おもいだしたようにかおをあげて


ねぇ、

きょうは、なんのひだったかしらとたずねたりする


すこしまえに

やすらかにねむりについた いもうとのかおを

そっとなでてきた そのやさしいてを

ふあんそうに
くちもとにあてながら

ねぇ、くろいふくはきらいよとつぶやいている



あなたのやさしい いでんしを

すこしだけ もらったわたしたちは


やりきれず、ほら、

またなんどもうそをつく


このあらしがすぎたら、


そうだねぇ、おばあ、

また、はれたひがつづくねと

いつものひびを えんじたりする



とおくにすんでいた あなたのいもうと

ふたりのかおは よくにている


ながいあいだ あえなくても

おなじように かぞくをもち

おなじように よい

つまで

ははで

わたしたちにとって

ははおやよりも やさしいそんざい


ながいあいだ たくさんのあいを わけつづけて

からだも こころも じぶんじしんも すりへらし


おなじように わすれる という こうふく を、てにいれてしまった



このあらしがすぎてしまったら

さみしいさみしいあさがくる

あなたはまたかなしくなるのでしょう

やさしいてでなでるのでしょう

がんばったねといって

あなたにしか かけてあげられないことばで

せなかで そだてたいもうとを おくるのでしょう



そしてすぐにわすれてしまう


いつものいすから みえるさくらのき をながめながら

ながいとしつきをおもって


これからすぐのかこたちを

すぐにわすれてしまうのでしょう






自由詩 いもうと Copyright 寿 2012-08-27 21:30:54
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