焦燥プール
в+в


あらかじめ仕組まれていた
夏の日の終わり

目の前の景色が
ゆっくりと麻痺していくのさえも
そんなの当たり前とばかりに
君は背伸びをして見せた

土曜日の午後の
彼女の笑顔や
封鎖されたあの体育倉庫にも
まだ熱は宿るのかな


不覚 吸いこんで
遺棄を止め
また 破棄だしてから
焦燥プールに飛び込めば
水飛沫を上げて
波紋は大きく拡がる

二人で飛び込んだなら
きっとどこまでも溢れ出すよ
愚鈍な手をすり抜けて
金網の向こう側へさえも


空が余りにも広いって
今更ながらに気がついた

太陽がその途端に
とても淋しく見えてきた

風がぐるんぐるん と
景色を大きく揺らして
瞬きをするのさえとまどう

君と僕の名前が
太陽の熱で上書きされていく
思わずため息をついたら
君が 少し笑った


プールに肩まで浸ったまま
僕らは何もしゃべらずに
ただ 見つめあったね

僕はその時
このままエンドロールが
流れてきてもいい なんて
本当に思っていたんだ




_


自由詩 焦燥プール Copyright в+в 2012-08-23 13:25:29
notebook Home 戻る