暗闇の中で
シャドウ ウィックフェロー
暗きより 暗きへ移る この身をば
このまま救う 松かげの月
これは松永伍一という詩人の母が残した、辞世の歌らしい。
暗闇の中で人にとっての救いとは何だろう。
明かりが無ければ人は一歩も進めない。
しかし、どこへ歩いて行くのか。人の歩みなど、所詮は一つの暗闇から別の暗闇へと移るだけのもの。それでも人にとっての救いとは、実はこの歩いていけるということ、それを支えてくれるものこそが救いではないのか…
例えば革命というものを考えるとき、一体それはどの段階で達成されたと言えるのだろう。革命が起きたときか、実際に様々な施策が成果をあげたときか、その状態が維持され、皆が幸福を感じ、それが次の世代にまで、何世代にも渡って続けられたときなのか…
おそらく革命というものの本質は、その志しをもった者が、そのために希望を抱いて、それに向かって歩んでいくという、生き方の中にこそあるものだろう。
つまり人にとっての救いとは、何かをせんとしている人にとっての救いであり、その自由が保障されること、そのものの中にあると思われる。