パレードには行かない
nonya
蟻だ
物凄い数の蟻だ
僕は
涎を垂らしながら
テレビのニュース映像に
釘付けになっている
パレードだ
角砂糖の数珠繋ぎだ
僕は
指をくわえながら
熱狂と陶酔の蟻の行列を
羨ましげに眺めている
蟻だ
僕も一匹の蟻だ
甘党で甘ちゃんで
そこそこ働くけれど
うっかりすると簡単に
踏み潰されてしまう
一匹の蟻だ
でも
僕は
パレードには行かない
欲しいものはそこにないから
本当に欲しいものは
ラッピングされた感動や
すぐに味がしなくなる夢や
コンクリートで作られた未来
のようなものではなくて
きれいな水と言葉と
おいしい緑と笑顔と
やすらかな大地と暮し
のようなものだから
僕は
パレードには行かない
蟻だ
僕もその他多数の蟻だけれど
群れることが苦手な
蟻にあるまじき蟻だ