水死
由比良 倖

薬を
一錠ごとに
食べて
ドアを
閉める
その
繰り返し

風が
開け放された窓から
冬が春に変わる
ころ

甘く
しめった
匂い

狭い
病室で
私の
瘢痕が
みじめに
乾いていく

その
小さな
太陽の
鼓動

借りものの
服を着て
寝そべる
まるで
床になった気分


自由詩 水死 Copyright 由比良 倖 2012-08-12 04:25:11
notebook Home 戻る  過去 未来