花一輪
HAL

あたしはまだあたしの咲く場所をみつけられずに
風のなかを漂っている
まるで帆を失った帆船のような気分で
風まかせで漂っている

どんな花を咲かせようと若い頃から想いつづけてきたわ
それなら適当な大地に舞い降りて
そこに根をはって適当な雄蕊が蜂に乗ってくるのを
待ってればいいのよと
彼女らしくない花を咲かせた友だちは言う
さらに花のいのちは短いのよと諭すかのように言う

でもあたしはあたしの想う花を咲かせたい
随分と色んな大地も森のなかも捜してきたけれど
やっと分かったことがあるの
結局あたしが咲かせたい大地をみつけるのに
安全な野原や山の中腹を示してくれる標識なんてなくて
あたしがどんな花を咲かせたたい場所は
自分でみつけるしかないことを

そこであたしはあたしが選んだ雄蕊を受け入れて
あたしだけの花を咲かせることが
あたしの夢だとやっと分かったの

だからだれに高望みだと言われても
そんなことをしていると手遅れになると言われても
そこをみつけるまで風に漂うことを
やめないと決めたの

そこは花園と呼ばれる場所でなくていい
ぽつんとあたしだけが咲く所だって構わない
それしかあたしだけの花を咲かせることが
できないことがやっと分かったから

そう あたしにもあなたにも自分の花を咲かせる場所はあるの
けれど それはあたしやあなたが自分でみつけるものなのよ


自由詩 花一輪 Copyright HAL 2012-08-06 00:49:23
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