そのままにする
佐藤真夏

はつなつに絡まる雪がふやけ出しわたしのもとに届く霧雨



七月は暑くて、暑くて
水際を探して歩き回っている
運よく見つけた堤防にのぼりながら
そそくさと
身分証明書を書き
のぼりきると同時に
海に流れ込む



いつまでも水面に浮かんでいなくては 自動扉に見つからぬよう



何度も魚になって
何度も魚になって
からい水を飲み
薄い紙切れに掬われる
 金魚、弱ってるね
って言われたら
大事にしてもらえる



みぞおちのあたりに流れ星が降りハザードランプになった中点




短歌 そのままにする Copyright 佐藤真夏 2012-08-05 01:04:55
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