月が見えない
藤鈴呼

月が 月が 見えないの
あんなに 大好きだった
赤い 月が

雪に 阻まれるなら
未だ 良い

雨に 打たれるならば
諦めも 付くと

吐いたのは 溜息だらけ
排他的な 他に
何が 有るのでしょうか

チーズハンバーグの中に
得体の知れないものが
入り込んでいて

それは きっと 調味料
具の一部
心の 添加物

何を 追加すれば 分からずに
フォークを 刺したまま

目薬を 入れる代わりに
目を 閉じたかった

月が 月が 月が
見えないんです

ユーストリームでは 真っ暗闇の
実況中継

少しずつ 欠けて行く 様が
まるで
ちょっかい出した 羆の傷みたいで

ヒグマに キスは しないもの

だってね
ちょいっ と 引っかき傷の つもりが
顔面 全て 取れる威力なんですってよ

奥さん 聞きました? なんて
目を 見開きながら

こちらの 動向だけ 確認するように
瞳孔は 開いた ままで

どうこう言うつもりは 無いんです
何を 責めているのかが 分からない
気に食わぬものの 存在が

せめて 見据えることが 出来たなら
ミスも 減らせるでしょうに

遠い国では
月の女神が 微笑んでいる

今年は 大丈夫ですよ
来年に 期待しなさいって

龍が 角を出して
嘲笑しているんだもの

大丈夫 だいじょうぶ って
一体 何が?

月が 見えないんです
ツキを 見過ごすところなんです

突いても良いですか
愛想 尽かしても 良いのでしょうか

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自由詩 月が見えない Copyright 藤鈴呼 2012-07-30 21:02:43
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