ガソリンメーター
そらの珊瑚

夏は
エアコンを入れるせいか
気づくと
ガソリンメーターの残量計が
あとわずかということがある
ランプがあとひとつというのは
かなりアセル状況で
近くのガソリンスタンドで入れていこうか
それとも
ちょっと離れた安い店まで
我慢しようか
みみっちい事で迷うのである

最後のランプのひとつが消えても
すぐにガス欠することはないのは
経験で知っているが
やはりドキドキする

宵越しの金は持たねえ
こちとら江戸ッ子でぃ
と啖呵を切った
江戸の人のなんとかっこいいことか

ガソリンメーターが一杯になると
心もほっとする
そうたくさんは要らないが
せめて三週間は
ガソリンの心配せずに
済むことに安堵する
東京に住む弟の奥さんは
東日本大震災以後
いつでも
車のガソリンメーターは
満タンにしているって
言ってたっけ

いつか車を手放す日が来て
ガソリンの心配から開放されても
また別の心配が来るだろう
江戸ッ子みたいに
啖呵は切れそうもない
もしも命にメーターがついていて
あとひとつってところまできても
ガソリン満タン
お願い!って
言ってしまいそうだ


自由詩 ガソリンメーター Copyright そらの珊瑚 2012-07-30 09:05:50
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