寂しさの単振動
CLBA

小田原の夜の海は
悲しむべき空虚さでしかなくて
恐ろしくなって
僕は逃げ出した

城下街の白色灯の光は
哀れむべき浅はかさを照らし出していて
怖くなって
またも僕は逃げ出した


寂しさの単振動


僕は前にも後ろにも進めない

いっそこの糸を切ってしまえば楽なのに

そうすれば
前後左右いずこか知らぬが遠くにはいけるはずだ

後戻りはけしてできないけれども


僕をして中心へと引き付けるこの力は何であろうか
そんなことを考えてみる


ほんの最近まですぐ切れると思っていた



時が満ちればこの寂しさも減衰していく

僕はそれを待っているのか

このベンチで
幼い自分が立てた誓いを
ひととき思い出している


自由詩 寂しさの単振動 Copyright CLBA 2012-07-28 03:55:37
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