寂しさの単振動
CLBA
小田原の夜の海は
悲しむべき空虚さでしかなくて
恐ろしくなって
僕は逃げ出した
城下街の白色灯の光は
哀れむべき浅はかさを照らし出していて
怖くなって
またも僕は逃げ出した
寂しさの単振動
僕は前にも後ろにも進めない
いっそこの糸を切ってしまえば楽なのに
そうすれば
前後左右いずこか知らぬが遠くにはいけるはずだ
後戻りはけしてできないけれども
僕をして中心へと引き付けるこの力は何であろうか
そんなことを考えてみる
ほんの最近まですぐ切れると思っていた
時が満ちればこの寂しさも減衰していく
僕はそれを待っているのか
このベンチで
幼い自分が立てた誓いを
ひととき思い出している