くらげの乳歯
きや

あれは雲だろうか


それとも


空を泳ぐくらげたちが太陽を食べているのか



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7月にしては優しい夕日をおれは眺めていた

3匹のくらげ越しの太陽はひどくぼやけていた

帽子を深く被って彼等からそっと離れた

いつも隣にいて、寡黙なきみはたまに笑って

その笑顔がひどくぼやけていた

おれはきみにこんな感情を抱いてしまって

けれど

そんなきみなど元からいなかったのかもしれない


自由詩 くらげの乳歯 Copyright きや 2012-07-25 03:45:46
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