夏冷え
サトウチカ
静けさと口がさみしくて
少しかじったリップクリーム
溶け出して滲む真夏日の視界に
飲み込めない青さを吐きだした
「何とかやっているから」
なんて
見えない嘘なら笑ってもらえる
そう思っていたんだ
君に借りた勇気や強さは一つも返せず
部屋の隅でほこりをかぶったまま
言えない言葉の底で凍る心
リップクリームは熱と消えたけど
僕の喉もカラカラなのにどうして、
真っ赤な
真っ赤な
真っ赤な あいがほしいよ
自由詩
夏冷え
Copyright
サトウチカ
2012-07-23 00:16:30
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