愛の22
瓜田タカヤ


ビラビラの花内部は空想の迷路
瞬時に変化する明滅色のコビトタクシー模様
遙か北部の山岳地帯にある自殺者の頭脳を
ブロック崩し的色彩で抱き留めるピン留めの肉体

丘の滑り台から
春の雪解け水があふれ 重く流れ
ずっと流れるだけ

縞模様の恋人達は濡れた枯れ葉が敷き詰められたベンチで
不規則に漂い、カマキリの生殖器の話だけを抑揚のない言葉で
奏でる

ビラビラの花びらは冷えた水滴が霧吹かれ
雪の結晶越しに白い光熱に薄まり赤い血の歌が聞こえる

ねえカチョウサン!このお薬は身体にすごく良いのです!
ねえアンタ買いなさいよ。カイナタイヨ!
しきりに何かを勧める 黒い繭からのぞく
糸を引いた笑顔でスタッフスクロールのラブロマンス
ラスボスがイマキタカトウが実写取り込みでリアルに動き回るドラクエ17
幼児の身体を二つに折りたたむ為だけの外科手術と親を説得させるための
心理カウンセラーのマニュアル
1メートルの長さで売られるタバコと、シガレットケースデザイナーが
頭を悩ませるドキュメント番組
20パーセントが馬の馬肉 詩人用の暗室 電子レンジで愛を育む疑似小動物
血糊のみで出産するカテゴリーを付け加える産婦人科のコンピュター
愛しのコンピュート

ピラニアのTシャツのみ3年間着続ける

見上げても何も無く
うつむいても日々のみが太陽に張り付いている

遠くで犬が泣いているような気がする
果たしてそれは本当にイヌであろうか疑ってみる

木の葉が深紅に濡れ
初めて私の朝を告げる

肉厚の人食い花
肉厚の
人食い花
今日君は
何を食べたの
私の娘達の勘定があっているか
私の内部の水滴が蒸発していないか
私の小さく肉厚な部分が噛み千切られちゃいないか
私の突然消えた母親が食べられちゃいないか

ねえオニイサン!お水買うね!1ドル安いね。
ねえ買わないとあなたワルイヒトネ!
薄明るい集落で腕の無い美しい幼子が勧める
黒い窓からのぞく 潰れたコーラがが復活するトリックが記されたテキスト
ポップすぎる見せ物小屋のポスターやチラシ 
初期のデザインに戻るカルピス アイドルのほぼ本物な着ぐるみ
海辺で静かに過ごす青年の部屋の窓にはアメリカ製のリアルドール
それが送られてきた木枠が巨大すぎて家族に知られてしまったのだ
彼は必死にボトムズだって!ボトムズだって!と訴えた時に吸っていた
母親のタバコの煙がライアーの文字を偶然に象るシンクロニシティー
愛しのシンクロニシート

ラビオリのTシャツを洗う擬人化された動物

距離の解釈の先には宇宙船があり
裏返るよどんだ声のみが遅い速度で頭を揺さぶる

機械の身体が濡れ
初めて私の朝を告げる

精悍な野良犬の花
犬の花
ブルジョア的なスカトロ
今日 君は何を食べたの
角膜を切り取りたくなるほどの
遠い空が針金で曲げられるような層に変化したのか
我が永遠トーキー裁判
愛の肉をすぐに出して出せてるはずだ
水彩絵の具で母親を描き濡れた蒸発は太陽に向かう

ねえそこのニイサン!寄ってかないすか。2時間5千円スヨ!
いいから寄ってケッテ!なあ。いつもここにいるからオレ
大量のニシンのみの大浴場でニシンはなま暖かく心地よいが
女が入浴するたびにニシンがニシンでいようと精一杯生きるので
危険な遊技にならなくもなく 時間制限を付けてみるが女も男も
企画者側も、それがあまり有効的な解決策になっていないのを
気づいてはいるが、誰もそれを言い出さない雰囲気を作り出す
緑色のポップコーン 灰色の夜空 肌色の人間の素振り
ペン先の無いゴミ 皮膚で作られたオートクチュール
皮膚で作られたバイキンマンの縫いぐるみ
皮膚で縫われたマフラー カップヌードル皮膚味
金持ちの心臓は豚で作られる 奇形を神と崇める祭りが復活
彼らは人形でもなく人でもなく動物でもなく植物でもない
彼らは未来からの開拓者であり、訪問者であると歌うソングライター
愛しのソングライト

ペルシャ絨毯のTシャツを白人に投げつける挿絵


紅茶を飲む午後
私の両肩に留まる小鳥と
妻の右肩に留まるハムスターは
外科手術でそうされた私たちの可愛い娘達だ

しゃべる小鳥は、ビラビラに入りたい!とだけ
何度もしゃべり

妻はそのつど、内部にキスさせた

私は妻を抱きしめ 少し都合悪そうに
今日は昔の友人が東京から帰ってくるから飲みに行ってきてもいいかい?
と所存無げに聞き、彼女は少し怒りながらも、許可してくれた
私は意気揚々と夜の町へと出かけた

ここは残念ながら地獄ではないようだ
死を恐れぬ詩人を誰もが待ちこがれている町

現実だ

ようこそ
愛の

 愛の
22世紀へ


自由詩 愛の22 Copyright 瓜田タカヤ 2004-12-11 05:47:03
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