音階
瀬崎 虎彦
金属をたわませて自転する惑星
ぼくたちの手のひらより
小さな宇宙の底で未来が始まる
歌舞音曲は原子の中にあった
密林は絵画のようでいて
いつかどこかでそのモデルを見知った
そんな気もしていたのだけれど
思い出せずにエスカレーターに乗る
吹きすさぶ声の嵐の中で
受け取り手のない言葉の翼
身じろぎもせず体温を奪われながら
裸体をなぞるように螺子を送り込んでいく
透明な電線をこえて空へ螺旋
今日も音階は約束を果たすように凍えている
自由詩
音階
Copyright
瀬崎 虎彦
2012-07-20 00:30:49