夢遊
きや

ふらり

ひたひたと足を滑らす

溶解液漬けの満月を見たかつた


布団から抜け出しておれはゐた

泥のやうにしづかでやはらかい真夜中

おれは哭いた

やたらに咽喉を震わせ

慟哭した


解凍された月に興味なぞなかつた




足がぢくぢくとしてゐる

無心に夜の水を掻いて

これがおれたちのドグマどいふもので

そうして疲れ果てて死んでしまつた



月と泥の対照はいつまでもおれを眺めてゐた


自由詩 夢遊 Copyright きや 2012-07-17 01:03:49
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