ピエロの夜
永乃ゆち
目に見えて不幸そうなわたしを
演出しようとしたけれどできなかった。
総てに負けているなんて
認めたくないから。
髪を切る代わりに
きつく結い上げた。
溜息をつく代わりに
赤い口紅を塗った。
ピエロは夜ベッドに潜り込んで
やっぱり泣くんだろうか。
自由詩
ピエロの夜
Copyright
永乃ゆち
2012-07-16 22:39:38