悪食のひと
カマキリ

テーブルから目を離した隙にこぼしてしまった
グラスに良く映っていた星座たちは大丈夫だろうか
せめて開けた窓に都合よく張り付いた夜は
換気するたびにぴらりと剥がれてしまっていた

洗いたてのシャツに頭を突っ込んで
そのまま違うものを見てみたいのだけれどボタンが取れてしまうから
ぎりぎり正気になっていた

めくれた袖の異次元で神経衰弱するような
誰かを笑わせる人間でありたい
プラナリアはそれを無視するのが日課だった

ガイコツ通りに流れ星がたどり着いて
薬屋さんのご主人が飴をまいた
奴らは腰が痛くて何もできない
まな板を壁にくっつけて
となりの宇宙人のためにヤブヘビを敢行する

まさかあの形の良い皿に強く染みた、どろどろの集合体を
感情と呼ぶとは、知らなかった


自由詩 悪食のひと Copyright カマキリ 2012-07-14 05:01:36
notebook Home 戻る