小さき者のウタ
岸かの子

     
幾重にも纏わりつくビニル袋が
この生命も
この儚き光にも
二酸化炭素を含めという
カラカラ渇いたこの時代には
辻褄合わせの契りが似合う
一夜の夢を見させておくれ
赤い月も笑っていたあの夜は
誰もあなたを責めはしないのに

砕け散った硝子の破片を
雨の如く散らばせて
金糸と銀糸に振り分けよう
硝子の破片は跡形もなく
夢の中へ
儚き内なる方へ
光り無き
二酸化炭素の渦の中へ
駆けてゆくしか道はない

カタワレヲ ナクシタ
アハレナル カケラヨ



自由詩 小さき者のウタ Copyright 岸かの子 2012-07-14 01:15:46
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