浮遊するビニール袋として
番田 


段々と仕事が減ってきた
解雇された 潰れた あの日本橋の会社のことを思い出す
しがないソバ屋の2階だった
すでに 未来に希望を持てる国では無くなった
音のない無言の空間の中で
僕は のんびりと 身構えていた だけど
それは 良くあることなのだろう


アメリカはどこまで発展するのだろう
世界的な不況の中でも今日も新しいテクノロジーを生み出している
そう思っていると この部屋にも夕暮れが近づいてきた
僕も その栄光の一端を担いたいものだ
トイレ掃除なら できないこともない


霞のように
何の責任感もなく
生きて行けたら 幸せだ
風のように
どこまでも流れて行けたなら
死んだ後に すぐに
名前も出てこないような 灰色な世界を


だけど 人に 何を与えることもなく
普通に生きていくことは 難しい


機械になりたいと語ったのはアンディウォーホルだが
僕もそんな毎日で良いと思う
なかなか そうはいかないけれど
女の子のように私情を挟まないように すました顔で
くだらない日々を 流れていきたい
そしてこの作品の幕を閉じたいと思う
そんなふうに 誰に 何を伝えることもなく


自由詩 浮遊するビニール袋として Copyright 番田  2012-07-12 02:18:22
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