鉄橋
nonya


先に
想いが渡る

次に
鼓動が渡る

最後に
身体と車輪が
ついていく

川面は
曇り空の下で
もっそりと
黙りこくったまま
10両編成の
小癪なリズムに
渡られて

先に
戸惑いが残る

次に
後ろめたさが残る

最後に
未練と残響が
とどまろうとする

橋は
人を渡し
街を繋ぎ
時間を縮めながら

素知らぬふりで
向う岸と向う岸を
隔てる川面を
いつまでも遣り過ごす




自由詩 鉄橋 Copyright nonya 2012-07-09 19:02:51
notebook Home 戻る