それはまだまだ幸せのひとつで
ちゃむ

雨が降ればいいのに

たなばた

空の上のふたりの恋の話なんて
どうでもいい

だって自業自得でしょ?
天罰でしょ?

でもいいじゃない、年に一度きりだって
逢えるんだから


あれは
雨が降っていた、たなばた祭り


  「来年も一緒に来ようね」


そんな恋がありました
もう何年も前の話です

約束は果たされないまま
逢うことも無く
現在
風の噂ではもう結婚していると
わたしはわたしでそれなりの幸せの中に

それでも
ふと
あの日を思うと
また逢いたくなる

このどうでもいい哀愁が
嫉妬のように雨を乞うのです

自業自得かもしれないけど
天罰ではないこの想いは

幸せですか?
不幸ですか?

ヒッグス粒子の海の中で
わたしは質量を得て空へ上昇する

織姫と彦星を見下すために

それはまだまだ幸せのひとつで




自由詩 それはまだまだ幸せのひとつで Copyright ちゃむ 2012-07-06 00:00:39
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