真白髪
そらの珊瑚

鏡に映った
昨日より
一日分白さの増した生え際を見て
思い出す
巧妙に細工された嘘が
ゆっくりと正体を現すように
染めた髪がもとの白い色に戻る

白髪は中学生の時から
生えていたように思う
若白髪って
何才まで許される言葉なのだろう
私が思うに
十代までではないだろうか
そういえば
白髪に厳しい友人がいて
私の白髪を見つけようものなら
真剣に近い真顔で
引き抜いてしまった

私は痛いのが嫌だったし
それほど白髪のことを気にしてはいなかったが
(気にするほど多くは生えてなかったのだろう)
なんだか彼女の真心を
傷つけてしまいそうで
抜かないでとは
言えなかった
あの頃彼女のことを
一番の仲良しだと思っていたが
実は少しだけ
憎んでいた
探してまで
私の白髪を抜こうとする
私にはない
真心を持つ彼女を

あの頃
真人間
真正直
なんていう言葉を前にすると
自分がそこからはじかれるんじゃないかと
落ち着かない気持ちだった

その点
今の真白髪は
探す手間など要らない
私にとって
誰にも指を指されぬ
正真正銘の
押しも押されぬ
真実である









自由詩 真白髪 Copyright そらの珊瑚 2012-07-05 11:59:16
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