アドリアネのブロー
和田カマリ

お得意のハサミで
夜を招きよせる
美容師の笑い声

あはは
あははと
距離を縮めていく

やがて彼は
潮目に沿って
金色の糸を流す

彼女達は
心からは笑わない
ただ彼に
身をまかして

帰れないかもしれない
青い夜の海へ
少しの間
揺れている
振りをするだけ


自由詩 アドリアネのブロー Copyright 和田カマリ 2012-07-03 19:09:33
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