リズム・セクション
HAL

コンピュータではなく正確にビートを刻む
人の手で叩かれるドラムス

コンピュータではなく正確にビートを刻む
人の手で弾かれるベース

コンピュータではなく正確にビートを刻む
人の手で鳴らされるリズム・ギター

それはスターのために有る
脇役でしかないかも知れないが
そのリズム・セクションがなければ
スターは歌えない
派手なパフォーマンスも
聴衆に見せられない

リズム・セクションの人間達は知っている
此の舞台を支えているのは俺達だと
俺達なしにスターはスターでいられない
舞台の袖から待ち兼ねた喝采を受け
登場することはできない

そう俺達は此の舞台では絶対不可欠な存在
俺達がカウントを叩き
リズム・ギターがコードを
6本の弦で弾かなければ
ベースがその隙間を突きながら
狂いなくヘ音音符でバック・アップしなければ
ドラムスがハイ・ハットを叩きながら
シンバルを打ちバスドラムを響かせなければ
スターは何もできない 1章節も歌えない

もし俺達に敬意を払わないスターならば
そいつは長くスターとして舞台に立てない
俺達がリズムを停めれば
同時にスターに当っていたスポット・ライトは消える

そう此の舞台を支え聴衆を立ち上がらせるのは
スターだけでは成し得ない
俺達リズム・セクションが
舞台の上にいるからだ


自由詩 リズム・セクション Copyright HAL 2012-07-03 05:19:35
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