海外旅行は簡単ではない
番田 


フランスの通りを歩いたことがあるが綺麗だと思える建物は見たことなど無かった。シャンゼリゼ通りもただの道に見えた。そういったことが起こってしまったのはなぜだろう。視覚的に美しいものを捉えること自体が、難しかったのかもしれない。例えば、歌舞伎町と渋谷の景観は全く違うのだということは、誰にでも理解できる。しかし、パリの場合は、マルセイユと比べたところでなかなか違いを感じることはできないのである。スペインやドイツを比べてみても同じなのだろう。フランスには美しい風景はどこにも存在しない。そうであると誤解するのは、まさに光のせいなのである。それはしかるべき距離からではないと感じることはできない。しかし歌舞伎町や渋谷の風景はそういった光を取り入れようとすることなく成立している風景なのである。

観光や留学などで現地にぼんやり滞在しても、あまり意味は無い。メディアに流通させられている写真の方が必ずと言っていいほど美しい。それはしかるべき時間のその場所でシャッターをきられているからだ。そんな風に現地にある全てのものが美しいのだと言うことはできない。時間や季節などをふまえた何らかの解釈が、人には必要となってくるのである。



自由詩 海外旅行は簡単ではない Copyright 番田  2012-06-29 02:11:55
notebook Home