夜めぐる夜
木立 悟






雨のあとに増す
後ろ姿
径を曲がり
野の前をゆく

同じ顔をした娘が四人
家のまわりに立ち
海辺の灯
風を まわす

何も見ないものに囲まれて
子はひとり空を見る
星座を壊し
創りながら

無音を伝い
樹に降りる曇
曲がり角だけを
照らしている

路地の光の
反対へ向かっても
また光に着いてしまう
銀と鉛のまわり路



木曜日を知る鴉
黄色を知らずに
狩られる

なまあたたかい
片目の裏
まぶたの高さに
そびえる断崖

羽が 翼が
空を地へはたき
硝子を硝子に
鏡を鏡に並び替える



灯のない径を
四つの影が近づいてくる
まぶたより空に近いのに
まばたきはくりかえし地に眩む

歪めるもの
貶めるもの
同じもの
それとは知らず
そこに在るもの

雨の残りが
街を流れる
高さも低さも
己れ自身も呑みこんでゆく

気づくと四人は居なくなり
またひとりになり地球儀を燃し
子は霧を聞きながら
はじめて淵を描いてゆく

























自由詩 夜めぐる夜 Copyright 木立 悟 2012-06-28 09:30:30
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