透明な初乳
和田カマリ
薄い雲に覆われ
目視できる
ギリギリの明るさで
太陽が唸っている
目を閉じると
破裂した光の飴玉が
痛みなく脳髄に
突き刺さってくる
その色は最初
透明な初乳のようで
やがて滲み出して
黄色く変化した
それは懐かしい
ふるさとの駅で
日本人に盗まれた
僕の自転車の色
自由詩
透明な初乳
Copyright
和田カマリ
2012-06-27 18:18:21