夢幻
永乃ゆち
千切れかけた夜に流れる月が未練する
(月をハート型にくり抜いた夜貴方と)
君の面影が遠い空の飛行機雲に乗って
(寄り添う私は無言の約束)
初恋は通り雨のように虹を残して消えた
掌の中の幸せが空より広く僕を満たすけれど
かき集めた幸せに塗る色がないと嘆く
(私の親指が伝えた愛を貴方の小指が知る術もない)
掬われて救われた骨は君の鎖骨に違いない
花弁を纏う天女は風に恋をしたんだ
どうかそっと花開いて
憎しみは人から生まれ人へ還るとか
(小さな私は砂漠に落ちた涙)
君だけが教えてくれたことを反芻しながら
(貴方は気にも留めずに夜を進む)
体ごと夜に預けて月明かりに心を浸す
(どうか私に会いに来て)
僕たちは永遠の呪縛
硝子の迷路の住人
すれ違い行き違い
一生触れ合うこともなく
想いだけを募らせて終わる
私たちは来世の契り
今生の夢に涙を浮かべて
さようならさようなら
一生抱き合うこともなく
唇を噛み締めて終わる
夜と朝が永久に続くように
君を(貴方を)永遠に愛してる