棘のない薔薇
HAL

よくぼくは言われたよ
過激な発言ばかりしてないで
普通のことだけを話せよと

よくぼくは言われる
山あり谷ばかりの生き方じゃなく
普通の暮らし方を覚えろと

じゃあそう言うひとたちにぼくは問いたい
普通って何だ 
普通って自分の感じたことを押し黙ることか
普通ってこのインチキな世界に無言でいることか
普通って腐り切った年寄りどもにこの国を委ねることか

ほらほらお得意の無視と現実に眼を背ける普通のひとたち
きみらに取って普通ってどう言うことだ
流れに抗わず自分の力すら遣わず
荒波へと向かいそれでピリオドを打つことか
遺体すら見つけられない死を望むことか

それならいったいきみの知性は
きみの心は何のためにあるんだ
牙も抜かれて吠えもせず
餌を与えて貰えるなら喜んで尻尾を振り
力あるものに擦り寄っていくことか
覚悟も誇りも自負すらさえも捨てたのか

少なくともぼくの薔薇には鋭い棘がある
かつてきみらも持っていた鋭い棘がある

ぼくの人生はぼくだけのものだ
訣の分からない普通をよく言うひとに
ぼくの生き方を決めて貰いたくない

少なくともぼくの薔薇には鋭い棘がある
かつてきみらも持っていた鋭い棘がある



自由詩 棘のない薔薇 Copyright HAL 2012-06-25 04:53:25
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