ある日の日記
森未

6月の雨音が
少しずつ夏を連れてくる
色々の傘とあじさいの花
ゆっくりとすすむカタツムリ
ねえ
ほたるはもうとんでいる?

大昔のあの人も
時間をきっと持て余して
広い庭を眺めていたに違いない

わたしたちは
そのころと
きっと何もかわってはいないはずだよ

誰かを傷つけたり
誰かに傷つけられたりすることも
誰かを愛することも
死ぬのが怖いことも
失うことの辛さも

大昔のあの人みたいに
窓の外の天気をうかがって
ため息をついて
虹が出た空に心弾ませて
蝉の声に耳をふさいで

6月のカタツムリみたいに
あじさいの葉の下にかくれんぼしよう
ひとりぼっちの傘に肩を落として
別に救われたいわけじゃない
今日もわたしが息をしていること
いつか息をしなくなること
愛しいし怖いし
ぐるぐるとまわる矛盾と理不尽を抱いて
それでもカタツムリがかわいいなあなんて
まだまだわたしは思えるし
あの人もきっと
毎日答えの出ない問にいろんな答えを出してみたに違いない

不毛だ
でもとっても
すてきだと思うの


自由詩 ある日の日記 Copyright 森未 2012-06-22 22:00:25
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