Lilac(ライラック)
南 さやか

息苦しい静寂が押し寄せる
一枚の薄い紙切れを真ん中に
無表情で
二人は向き合っている

いつからだろう…
野菜スープの煮崩れたジャガイモを
あなたが無言で
口に運ぶようになったのは

この 殺風景な穏やかさに
私が知らぬ間に
溶け込んでしまったのは…


黄ばんだワイシャツから
私の知らない花の香りが 立ち上って来る


あなたは
第二の人生を
考え始めていた


--
※ライラックの花言葉: 耐える愛、別れ



自由詩 Lilac(ライラック) Copyright 南 さやか 2012-06-14 04:22:58
notebook Home 戻る  過去 未来