【 孤高の花 】
泡沫恋歌

誰にも触れられない場所に
花が咲いていた

切り立った崖の中腹
そこには
誰も登って来れない
誰も降りて行けない

そんな場所に独りぼっちで
花は気高く咲いていた

小鳥の囀りに耳を傾け
そよ風が頬を撫でていく
瞑想の空間がある
花は孤独を愛していた

それなのに
静かな日常が突然奪われた
乱暴な疾風が吹き荒れて
花びらを散らし
全てをむしり取っていった

切り立った崖の中腹
そこには
花は咲いていない
花のことを誰も知らない

たとえ形がなくなっても
『信念』と言う根が残っている限り
来年もきっと
あの花は
この場所で咲いているだろう



自由詩 【 孤高の花 】 Copyright 泡沫恋歌 2012-06-11 07:43:55
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