パラドックスアイスクリーム
否々

からだじゅうをかきむしって
みどりいろのどろどろにからまった言葉やあるいは意味をもたない記号たちをしぼりだす
さながら泡立ったメロンソーダのようなそれに
どうせならあまいあまいバニラアイスをどうにもならないくらいのせて
きょうの前髪がうまくつくれなかったこととか午後から降るという雨に憂鬱になっていたい
解の公式は魔法のことばじゃなかった
HBのシャーペンはステッキにはならなかった
しろいハイソックスはオーバーニーのブーツにならなかった
ピンク色の髪にもならなかった
コンパクトにはファンデーションしかはいってなかった
不器用なウィンクからは星はでなかった
手は光輝かなくてブリザードは出せなかった
みつあみを揺らしながらローファーでふみしめるアスファルトは0時を過ぎるとビー玉やビーズをあしらったプラネタリウムになるはずで
x軸とy軸の交わる点は世界のはじまりかもしれなかった
ねえ かみさま
にんげんは歩きつづけてどこへ向かいますか
何者でもなくなった放課後におしえてくれるものはありますか
梅雨は前髪がうまくきまらないからきらいです
夏がきます
おうち帰ったら冷凍庫をあけてみて
すずやかな白いふわふわが消えるころにきっと変身がおわるから
いちご型の製氷皿のビー玉が溶けきったらチョコミントのアイスクリームだっこしてでてくるよ
さいきんちょっとゾンビに似てきた顔にウォータープルーフのマスカラ塗って
透けるように白くなりたい肌に黒のニーソックスを装備して
水玉スカートにとりあえず武器は木のスプーン
おっきなリボンがトレードマークの
きみのそばにいることがだいすき戦士

「あのね わたし すこしかわいくなったの」

指先からやっぱりビームとか出ないから
つないでてあげる
きみの体温が魔法になるとおもうので

きょうも世界は平和かもしれないのです



自由詩 パラドックスアイスクリーム Copyright 否々 2012-06-09 00:07:46
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