ひかり かさなり
木立 悟






すべての水の凶兆に立ち
濡れた緑を見つづけている
静かな悪魔が建てた街


どこまでが幻か
袋の底の底をまさぐる
鳥のような 砂のような


瞳が沈み 昇る真下
ねじれひろがる影を片手に
咲きすぎた花を触れめぐる


曇より低く
空わたる網
したたり落ちる 音の碧さ


くちばし 命運
光 静脈
道は太く 直線でなく


まぶたまぶしさ
沈殿 まばたき
どこか似ている 億の物語


白と虹のはざま
屋根つたう午後
もどらない曇


影なき通り 置き去りの息
壁のうしろに積もる歌
翼は下る 坂を下る


雨を追う指
喉に着き
窓のむこうの煙に震える


打ち寄せる陽が
原を照らす
夜はすぐに やってくる


造っては棄てられた街の群れから
雨は雨のなか動けずに
空の行方のざわめきを聴く


軽い寝具 蜘蛛の脚
遠い砲声
夜を昇る
























自由詩 ひかり かさなり Copyright 木立 悟 2012-06-08 22:33:04
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