朝の遠い夜を(髪留め一つ分の輝きのための)
月見里司

少し上機嫌で宵を迎えると
黙ってふところをまさぐられ
虹のかけらを一つ
出し忘れていたのを思い出す

そいつは日没の時刻も守らずきらんきらんと光っているが
宵がつまんだらくすんで汚れて消えてしまった

これがせめられようか
むしろ、なぐさめなければ
宵まで汚れていくような気がしたのだ
なぜだか。

外套がどうにも似合っていない
噛み合わない夜が大口を開けたような
その歯の先にひっかけて
上着なしでネオンのひかえめな光芒を拾いに行くのは
無頼を気取っているようにも見えそうだ

宵や宵、また手に余らせる
まずはコーヒーを飲むところから始めたほうがいい

//2012年6月7日深夜


自由詩 朝の遠い夜を(髪留め一つ分の輝きのための) Copyright 月見里司 2012-06-08 02:21:22
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