ブランコがだんだん空からはなれてゆく
パラソル

ブランコが電車みたいに横移動できたらとてもすてきだ
ブランコで隣町まで行けたら
それはとても便利

ブランコが飛行機みたいに空を飛べたらとてもすてきだ
しばりつけている鉄の棒から鎖をちょんぎって
そのままたよりなく飛んでいく。


わたしは地上にへばりついて缶コーヒーをすすってる
そして便秘で死にそうになっている

目の前に、ブランコがふわふわと飛んでくる
鎖がむちのようにしなって、わたしの手から缶コーヒーをたたきおとす
そんなものをのんでないで、俺にのれと言っている
わたしはいっしょにふらふらと飛んでいく


横移動で隣町へ
そして縦移動で空へ


だんだん大きくなる空をみながら
わたしは運賃を払わなくていいのだろうかと心配になる

そして鳥の姿が見えなくなったころ
わたしは酸欠で死にそうになる


ふいに、ブランコは宙返りをした
わたしはもちろんすべり落ちた
多分、わたしをのせるのにあきたのだろう。
わたしは安心して地面に落ちていった


ブランコは一人でふらふら飛んでいく
自分が昔、鉄の棒にくっついていたことなど
もはや忘れているだろう


自由詩 ブランコがだんだん空からはなれてゆく Copyright パラソル 2012-06-07 22:12:24
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