「HELP」
ベンジャミン

真昼の高架下
薄暗い小さなトンネル
壁面にスプレー缶で書かれた

HELP

よくあるいたずら書き
誰に向けられたわけでもない
行方を持たないメッセージ

どうせなら
HOPE

目的を失ってから
理由なく前へ進むため
ただの自己暗示なのだとしても

なのに
HELP

反対側の壁面にも
見上げれば天井にも
はっとして見下ろした足元にも

大きさも色もことなる
無数に書かれた

HELP
HELP
HELP

その中には
叫ぶこともできずに
自分が書いたものがあるのかもしれない
 


自由詩 「HELP」 Copyright ベンジャミン 2012-06-07 15:19:11
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