脇役
永乃ゆち


人は誰しも人生の主人公だとよく聞くが

私は私の人生においても脇役ではないかと思う

ヨークシャテリアのクィーンは未だに懐かない
(私が名付け親なのに!)

今日こそ告白するぞとお洒落して意気込んでいたらヒールが折れた

天気予報は見事に外れ濡れ鼠になった

毎朝必ず黒猫が目の前を横切る

まぁ、良いけど

自分の人生を俯瞰で見られればなかなか面白いのかもしれない

他人事のように生きてゆけたら楽かもしれない

何故生きるのかとか

何故恋をするのかとか

答えの出ない問いを投げかけてひとしきり悩むのも

格好つけと言ってしまえばそれまでだろう


私は主人公になんてなれない

自分の人生に責任を負う事が嫌だから

またこの人生に加わって来る人たちの相手をするのも嫌だから

私は独りが良い


眠くなるのもお腹が空くのも抱き合いたくなるのも

そんな自分をいつも外から見ていたいと思う


生きてる実感を人は欲するものだというが

私にしてみれば死んだ事もないのに実感は湧かないだろうと

かと言って死んでみたいわけでもない


取り敢えず生きている

生きてるから生きている

生きてる内は生きる事を全うする

やり方が少し違うだけで


私を私が見つめて滑稽に思ったり同情したりする事が

割りと面白いのだ


主人公になんて成らなくて良い

一生脇役で良い

誰からも見向きもされず

喧騒の中で泣きじゃくったら

私は思いがけず自由になれた

私は自由になれた

誰の目も気にすることなく生きてゆく事が

私の目標だ


自由詩 脇役 Copyright 永乃ゆち 2012-06-04 23:58:48
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