忘れない
もっぷ

遠い日に見た空
せいいっぱいにオレンジ
おさないわたしは
背丈を忘れて
そこへ渡りの整列飛行
はじめて仰いだ
自由
の具現だった

無理わかってた

無いから
地球に縛られてるって
理屈は理解にまだ至らない頃

一面のオレンジは
でもかなしみでもあった
帰らなくっちゃいけないから

帰らなくっちゃいけないから

夕焼け小焼けのメロディーが
諦観を教えた最初の先生

こどもって
ねえ、どう思う?
何もわかっていないと思う?

遠い日のなみだが重なる
空のオレンジ
滲んで
ぐっばい友だち
そしてきょうの日

遠い日のオレンジ
切実に抱擁してくれた
あなたを

わたしは忘れない


自由詩 忘れない Copyright もっぷ 2012-06-03 17:33:11
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