えっちらおっちら
あおば




0型新幹線車両が
トンネルで脱線した
誰の性だ、詮議は後回し
この忙しい時に集まるか
100人の男を呼集して
モーターカーに載せて
急行する
手にはゲバ棒、ではなくて
大きなハンド・ジャキを抱えてる
大きなバールみたいなものだ
えっちらおっちら
狭い犬走り駆け足で
現場に急行
大きな車体が
ぐつたりとしている
バラスを掻き取り
ジャッキ差し込み
えっちらおっちら
声を合わせて引き上げる
100人力のパワーでは
チョイと不足に思うけど
現場は狭くて狭くて
現代兵器は役立たず
竹やり作戦を遂行するのみだ
しばしの苦闘の後には
不貞腐れた先頭車両線路に復活
いやいや歩いて行きました
こんな生活、とは言いたいけれど
これが人生、我が余生
新幹線は今日もまた
ホイッスル高らかに走ります
0型車両よ
おまえの余生もいましばし
まあ、機嫌良く、走ってくれ給え




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作 2000年3月8日



自由詩 えっちらおっちら Copyright あおば 2004-12-08 01:03:01
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