Vampire.
雅寛

潔癖性、禁じられた遊び、肉体と精神の同化、中性的な性愛者、同化する君と僕、一つに溶け合う。
千切れた吐息、君が恋しい。
君は背徳の罪を背負い、僕の唇をピンク色に染める。
鮮やかに彩られた僕は君の思うままに、
濡れた僕のピンク色の唇を、君が優しく舐める。
溶け出した甘い僕の唇は愛しい君の唾液と混じり合い、
君の中で甘い蜜に変わる。至福の笑みを浮かべて。
……わずかに君の肩が揺れる……。

倒錯した愛情、倒錯した性、倒錯した行為、倒錯した部屋、倒錯した僕と君、バラバラさ。
細く伸びた指、爪先まで優しく舐めて、
滑らかに広がる白い肌を溶かす。
堕ちていく太陽に照らされながら、
君の背中に飾られた天使の羽を優しく千切る。
秒読み、熱い口吻が終わるまで数えてあげる。
気を失うまで口ずさむ狂った恋の詩。
目眩がして、倒れ込むその瞬間まで……愛してる。

「ねぇ、君を好きだから、今のままで居るけれど、本当に僕が……、君が望んだ事ってこんな事だったの?狂おしい程、夜も眠れない程、君が“好き”です。 それじゃ駄目なのかな?」

白昼夢の様な、下らない妄想。
愛し過ぎた君の顔を狂気が優しく歪めていく。
狂気と恋、少しずつ、僕が、狂っていくよ。
まだ、正常を演じていたいのに。
君の肩を、噛んでみたい。
赤く滲む白い肩を、舌で……。

悲鳴にも似た笑い声。狂った様に歪んだ愛情ばかり考えてる。膝を、抱えて。

僕が君に成る。君が僕に成る。僕が君に成る。君が僕に成る。僕が君に成る。君が僕に成る。
僕が君に成る。君が僕に成る。僕が君に成る。君が僕に成る。僕が君に成る。君が僕に成る。
僕が君に、君が僕に、僕が君に、

「ねぇ、君が望む愛って何なんだい?僕にはもう分からないよ。君が好きって想いも、
何時か消えてしまうし、歪んでしまう。それでも君の側に居たいんだ。駄目かな?」

今日もマスカットの味がするカプセル状のアレを舐めて、君を待つよ。
鏡の前、櫛で梳かして、シニカルに微笑ってみるのさ。
僕に欲望さえ無ければ僕の愛は完璧に成るのかもね。
だけど、もう元には戻れないんだ。
愛してる。狂ってる。救いの手は差し伸べられないよ。
だから……。
愛しい君の肩を噛んで、全てを終わらせるんだ。


自由詩 Vampire. Copyright 雅寛 2012-06-01 23:08:40
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