Interself
南 さやか
音も方向感覚も失った私の前に
一面に拡がる風の紋章
狂った重力 私は空に止まってる
冷たい綿のかけらを いくつも踏んで
それでも少しずつ 前に進もうとする私を
遮るのは 誰…?
重い羽根が背中から落ちて行く
君は堕天使に生まれ変わったと 嘯く妖精たちが
西の森から冷ややかに
飛べない私を見ている
思いが消えた胸の内
息をしてた頃の 私の残像が点滅するたびに
涙があふれ出す
もういちどよく似た体を 探し出せるだろうか…
私は来世に還って行く
見知らぬ妊婦の耳元に立ち
そっと匂いを確かめて
彼女の暖かそうな膨らみの彼方へと 潜りこんで行く
自由詩
Interself
Copyright
南 さやか
2012-05-27 06:11:49