くだらない休日の過ごし方
カワグチタケシ
俺も大人になって人の痛みを知るようになり
今朝もあしたも街を見下ろす歩道橋をわたる
銀色の街は光の破片にみちているが
それも2時には消えてしまう
沈みかけた船から小さなはしけに思い切りジャンプして
沈んでいく巨体をしっかりと目に焼きつける
たどり着く岸辺をさがす気も失くして
流されるまま静かに漂い続ける
トラブル続きの木曜日やひどく退屈な休日が
君を魂の問題から遠ざけているというのなら
誰かの誕生日やくだらない休日の前の晩には
気心の知れた仲間たちといつも馴染みの店で
くだらないメロディに乗せて精一杯の大声で
君は不条理を歌えそして笑え
物語が角を曲がってこちらに向かってやって来たその時
俺は薄目を開けて
できるだけ身軽になってやり過ごそうとしたが
俺にはもう捨てるものなど何も残っていなかった
太陽がやけに明るい午後
the first day of spring
地下鉄に乗って街へ出かける
どんなに強く風が吹いても重力が俺を大地から引き離さない
だから俺はここにいて
いつも君をさがしている