昆布の旅立ち
藤鈴呼


夏頃から 気になって居た
昆布みたいな ドロドロの物体に
今日 触れたんだ

真夏は カピカピに 乾いていて
ソレが 何なのか
想像も 出来なかった

例えば 川原で バーベキューをして
夜まで 居座って 花火

バケツの水を かけた 燃えカス
そんな 雰囲気だった

若しくは 大海原を 浮遊して
漸く 流れ着いた ビール瓶の 欠片

一体 これは 何なのか
葉の色にも 見えるけれども
何かが 微妙に 変だ

雨上がりには 虹が見えるけれども
今日は 真実が 見えた
これは きっと 腐葉土に なりたての 雑草だ

緑 アオミドロ ヘドロ
触る度に 妄想は 酷くなって 行くけれど
綺麗に 土に 還る 準備を しているのね

そう 思えば
見過ごすことだって 可能でしょう
化膿しない 程度には

帰宅して ニュースを見たら
今年は 昆布不足なのだと 言う

岩肌が 丸見えで
昆布が 根付かないので

昆布〆も ダシも おでんも 
値上がるのは
時間の問題なのでしょう

ふよふよと 海底を 自由気ままに流れてる
昆布の気持ちを 知りたくなった

ぷよぷよと 改定されて 増殖するのは
規定ばかりで いけすかないけれど

くよくよと 項垂れてばかりでは
何も変わらぬ気がするから

今は 新しい 昆布の旅立ちを
願うばかりで

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自由詩 昆布の旅立ち Copyright 藤鈴呼 2012-05-20 18:12:05
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